ROC曲線 receiver operating characteristic curve(受信者動作特性曲線)は、スクリーニング検査等の精度の評価や従来の検査と新しい検査の比較に
用いられ、どの範囲でカットオフポイント cut-off point を取るかを示すもの です。カットオフポイントをどこに取るかで、ある状態にある者とない者を区別
する検査の能力を視覚的に示すことが可能となります。
ROC曲線は、縦軸を真の陽性率、つまり
敏感度
、横軸を偽陽性率、つまり(1−特異度)を尺度としてプロットしていきま
す。まず、検査結果のどの値を異常、つまり所見ありと判断するかのカットオフ
ポイントを決めます。その値で陽性とされる有疾病者と非疾病者の割合より敏感
度と偽陽性率を計算します。同様にして他のカットオフポイントとした検査値で
の敏感度と偽陽性率を計算し、このようにして求めた値をグラフにプロットし、
曲線を描きます。注意しなくてはならないのは、ここでいう偽陽性率は厳密な意
味での偽陽性率(疾病がないにもかかわらず陽性となる割合)とは異なり、RO
C曲線においての定義であることです。
このようにして描いた曲線より、どのカットオフポイントを採用するかは、
疾患の重症度や検査の位置づけ、その他種々の条件より決定されなくてはなりま
せん。しかし、カットオフポイントを偽陽性率の低い点(図のA点)にとると、
正常者で陽性となる者は減りますが、有疾病者を多く除いてしまい(つまり、敏
感度が低い)、逆に敏感度を高める(図のC点)と偽陽性率は高くなってしまい
ます。この関係を量的に求めるには一般に判別分析を用います。
異なる検査の優劣を判定する場合は、この曲線がより左上方に位置するほど
優れていると判断します。例えば、従来よりある検査のROC曲線に比べて新し
い検査の曲線が左上方にあれば、新しい検査はより精度が高く優れていると判断
され得るのです。
UPDATE:10/May/10'
© S. HARANO, MD,PhD,MPH