研究デザインを考える際に、どのようなものを観察・測定して効果等を判定
するかという評価項目を決める必要があります。この評価項目のことをエンドポ
イント endpoint と呼びます。評価するものの性質はおおまかに、効果に関する
ものと安全に関するものがあります。例えば、ある予防処置をして死亡率がどの
程度減少するかという効果の判定や、ある薬剤で副作用を起こさない割合という
安全性の判定などです。コホート研究など疫学調査では、一般的に、死亡率や罹
患率が用いられることがよくあります。死亡というエンドの状態を評価するので
、その観察時点がまさにエンドポイントとなることから名付けられています。
臨床疫学では、治療効果や診断結果などが知りたい情報となるために、目的
とする評価項目が多彩になります。エンドポイントのタイプには、発症率や死亡
率、再発率といった「比率」を見るもの、生存期間や再発までの時間といった「
時間」を見るもの、血圧値の低下やコレステロール値の減少といった「数値」を
見るもの、症状の緩和など「変化」を見るものがあります。最近ではQOLをエ
ンドポイントの指標にする場合も増えてきています。QOLを指標とする際には
主観的要素が強いので評価の仕方が問題となることがあります。また、エンドポ
イントを評価するための観察に長期間を要する時には、臨床検査や生理学的指標
などの代用評価項目 substitute end pointが用いられることもあります。しか
し、効果のエンドポイントと代用評価項目で食い違う結果となることがあります
ので注意しなくてはなりません。
いずれにしてもエンドポイントとしては、どのような評価項目を用いるか明
確し、妥当性や信頼性のあるものでなくてはなりません。
UPDATE:10/May/10'
© S. HARANO, MD,PhD,MPH