無作為化

  比較対照試験 などの介入研究の分析において、2つ以上の治療群(介入群と非介入群など) の比較性を保つためには、できるかぎり研究開始時点でそれらの群の性質を同一 なものにする必要があります。このための方法が無作為化 randomization です 。無作為化の目的は、比較する群の性別、年齢、重症度などの既知の 交絡因子 の分布を均等にするばかりでなく、未知の交絡因子の影響を低減させること にあります。
 最も簡単な無作為化の方法は、コイン投げです。比較群が2つのみの時には 、コインを投げて、裏か表かでどちらの群に割り付けるかを決定します。さらに 、比較群が3つ以上になれば、サイコロ(群の数より余分な数は無視します)や トランプをめくる方法もあります。よりランダムにするには乱数表やコンピュー ターの乱数発生プログラムを使用することもあります。
 どの被験者をどの順番で割り付けるかは、例えば入院順、来院順などにした がって上記の方法で割り付けることがあります。より一般的には、被験対象者に 連続番号を付けて、どの群にするか記した紙が入っている封筒を引くという方法 があります。 

ブロック無作為化

 単純な無作為化では、標本数がそれほど膨大とならないと、既知の交絡因子 の一部に分布の偏りが生じることがあります。例えば、治療A群は男性が多くな ってしまう、などです。これを防ぐためには、問題のある因子について層化をし て、一定人数毎のブロック(乱塊ともいいます)をつくり、その中で無作為に割 り付ける方法があります。これを層化無作為割り付け stratified random allocation といいます。ブロック内の人数(これをブロックサイズといいます)は比較群 の数の倍数とします。例えば、2つの治療法を比較する場合には、ブロックサイ ズは4人となります。対象者はまず特定の層 stratum(例えば、若年女性、高齢 女性、中年男性など)に分けられ、その層内の対象者をさらにブロックサイズ毎 に分けて、いくつものブロックを作ります。このブロック内の対象者をどの群に 割り付けるかは、さらに置換ブロック法 permuted block method という方法を 用います。ブロック内の対象者を均等に、つまり同人数づつ各群(仮にA群とB 群とします)に割り付けるには先頭の人から順に、例えばABABなど全部で6 種類の順列組み合わせができます。そのブロックにどの順列組み合わせを用いる かはランダムに選ばれます。こうすることで、無作為にそれぞれ均等に割り付け ることが可能となります。

   

UPDATE:10/May/10'

© S. HARANO, MD,PhD,MPH