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受診者動作特性曲線。診断テストやスクリーニングテストの精度の評価や新しい検査法と従来の方法の比較などに用いられる。縦軸を敏感度、横軸を偽陽性率(1−特異度)としてプロットした曲線で、曲線がより左上方に位置するものを優位とする。
実験事象率。事象率を参照のこと。
検査結果が陰性と出た人のうち、疾患が存在しない人の割合。
症候や検査の敏感度が高い場合、陰性の結果が診断より除外されること。例えば、腹水の診断をするうえで足首の浮腫の病歴の敏感度が92%ならば、足首の浮腫の病歴のない者では腹水であることはほとんどない。
症候や検査の特異度が高い場合、陽性の結果が診断に採用されること。例えば、腹水の診断をするうえで貯留液の波動の特異度が92%ならば、貯留液の波動のある者では腹水である可能性が高い。
Evidence-Based Medicineの原理の適応を行政や経済をも含む保健医療(ヘルスケア)のすべての専門分野へ拡大したもの。EBMが個人を対象にするのに対して、EBHCは集団を対象とする(JA Muir Gray)。
個々の患者の診療についての意志決定において現在ある最良の証拠を良心的、公明にかつ思慮深く用いること。「Evidence
Based Medicine とは」の解説を参照のこと。
1人の不良な転帰を防ぐために治療されるのに必要な患者の数。例えば、1人の死亡を防ぐのに何人に治療をすればその効果が期待されるか、ということ。ARRの逆数となる。 NNT=1/ARR
患者がある期間には実験的な治療を使用し、ある期間には代わりの治療やプラシーボを使用するというように構成された一対(pair)の治療期間を経験する。患者と医師は可能ならば盲検化(blind)され、結果がモニターされる。治療期間は医師と患者が治療が明らかに異なるかあるいは明らかに異ならないと確信するまで反復される。
単一の時点か期間に限定された母集団を観察すること。曝露と転帰は同時に決定される。
事象に対する非事象の比。もし疾患が起こるという事象率が0.1(10%)なら、非事象率は0.9で、オッズは9:1(1/9)となる。これは事象率の逆数と同じ表現ではないことに注意のこと。
有害な事象にさらされた対照群患者に関連する同事象の実験群患者のオッズを表す。具体的には、実験群がある要因に曝露するオッズを対照群のオッズで割ったもの。
主観的な検査所見(例えば胸部X線読影)が2者の観察者の間(inter-rater )、あるいは同一観察者の2回の施行間(intra-rater)で一致するかを知る指標。算定に際しては偶然による一致を除外する。 κ=Po−Pe/1−Pe ただし、Po=観察された一致、Pe=偶然によると期待される一致
医学文献の系統的な総説と要約。
関心のある転帰を示す患者(ケース、症例)とそれと同じ転帰でない対照を明確にし、関心のある要因への曝露があるかをさかのぼって見直す研究デザイン。
対照群の危険度(CER)に対する治療群の危険度(EER)の比。無作為化試験やコホート研究で用いられる。相対危険度、累積罹患率比とほぼ同義。 RR=EER/CER
検査を実施した後に検査の結果と疾病の存在が一致している確率。陽性反応適中率や陰性反応適中率が集団に用いられるのに対し検査後確率は個人に対して用いられる。
検査を実施する前に疾病があると判断される可能性を示す確率。有病率が集団に用いられるのに対し検査前確率は個人に対して用いられる。
Work-up Bias(作業過程での偏り)とも言う。情報バイアスの一種である。参照基準とした検査等より評価しようとした検査等を先行して実施した時、その結果で患者の状態がわかったために参照基準の検査等を実施しないで結果の正しさを確認しない症例が出ることによって生じるバイアス。
2つ以上の実験的治療法を指定されたあるいはランダムな順序で同じ患者群に交互に施す研究デザイン。
関心ある事項へ曝露した集団と曝露していない集団の2つの患者集団(コホート)を同定し、これらのコホートが関心ある転帰を示すまで追跡する研究様式。
疾病の有無を確定するために客観的で最も信頼できる診断の基準。黄金律(Gold Standard)や判断基準(Criterion Standard)とも言う。
対照事象率。事象率を参照のこと。
グループ内である事象(出来事、例えば死亡)が観察された患者の割合を言う。つまり、もし100人の患者のうち、事象が27人に観察されれば、事象率は0.27 である。対照事象率(CER)と実験事象率(EER)が対照患者群と実験患者群それぞれの事象率を表すのに用いられる。危険度とほぼ同義。
関心ある転帰を示す一連の患者の報告。対照群は含まれていない。
個人単位で要因と疾病の情報を集めていないため、集団単位で認められた相関が個人単位では認められないことをいう。
対照群の事象率(CER)と治療群の事象率(EER)との差。 ARR=CER-EER
対照群の事象率(CER)と比較した治療群の事象率(EER)の事象減少百分率。 RRR=(CER-EER)/CER*100
研究の目的とする臨床的に意味のある効果、例えば標的症状の軽減や疾患発生率の減少、入院日数の減少といったものを評価するのにかなり多くの患者を長期にわたって観察する必要があるため、これらに代わって用いられる臨床検査や生理学的指標など、例えば血中脂質濃度や1秒率、心拍出量などを言う。(評価項目は到達点、エンドポイントとも呼ばれる。)しばしば効果のエンドポイントと代用評価項目は相反する結果となることもあり、研究の真の効果を判定するには注意を要する。
特定の転帰と既知のあるいは推測される危険因子への曝露との関係を調べるために、ある1地域やいくつかの地域で同時に存在するいくつかの集団の集計データを基に行う調査。
疾患を有していない人のうち検査陰性となる割合。
不確実な状況下での判断を分析するために明確に理論づけされた量的方法を用いること。
効果を健康条件に転換し、ある付加される健康状態を獲得するのにかかる費用を表した分析。例えばさらに心筋梗塞を予防するのにかかる費用。
効果を個人の特恵(効用)に転換し、ある付加される質を獲得するのにどのくらい費用がかかるかを表したもの。例えば、質で調整した生存年(QUALY)を増やすのにかかる費用。
効果を費用と同じような金銭的価格に転換し、比較したもの。
疾患を有している人のうち検査陽性となる割合。
患者のグループを無作為に実験群と対照群に振り分ける。これらの群について関心ある変量や転帰を追跡する。
概説のひとつで、複数の研究結果のオッズ比などを併合するために用いる量的手法。
ある検査結果が目的疾患のある患者で得られると期待される見込み(尤度)と同じ結果がその疾患がない患者で得られると期待される見込みの比較。
検査結果が陽性と出た人のうち、疾患が存在する人の割合。
臨床家や患者が特定の臨床状況で適切な医療を受けるための意志決定をするのを助けるように設定された系統的に作り上げられた提言。
UPDATE; 10/May/2010
© S. HARANO, MD,PhD,MPH