概要

 「人は血管とともに老いる」(W. Osler)とも言われるように、加齢とともに動脈は硬くなっていきます。血管の壁は厚くなり、血液の通る隙間(血管腔)は狭くなっていきます。こうなると血流は低下し、いろいろな臓器組織の機能低下を引き起こします。また、血管壁には悪玉コレステロール(LDL)の塊(粥腫)が貯まりやすくなり、ますます血管狭が腔くなるばかりでなく、やがて内壁にキズがつき炎症を起こし、そこに血液成分の塊から血栓が作られ、血管を閉鎖します。これが脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす元となります。つまり動脈硬化は老化の重要な原因でもあり、死因の上位を占める梗塞の原因でもあるのです。動脈硬化による老化は臓器のみならず皮膚の老化にとってもおおきな影響を与えます。したがって、動脈硬化の進行度を知ることは重大な病気の予防に繋がるだけでなく、アンチエイジングにとっても大きな意味を持つことになります。そこで、動脈硬化の進行程度をあらゆる検査から評価する「動脈硬化ドック」が重要になるのです。

検査項目

 血管年齢

  動脈壁は年齢とともに肥厚して弾力を失い硬くなっていきます。この硬さの進行が年齢以上であれば危険信号です。血圧脈波検査装置を用いてその程度を計ります。

 脳年齢

  脳の動脈硬化が進むと神経反応(刺激に対する反射と考えていただければわかりやすいでしょう)も長くなっていきます。P300事象関連電位という検査を用いてその反応の長さを調べ、年齢平均と比べることで脳動脈硬化の程度を推定します。

 酸化ストレス度

  悪玉コレステロール(LDL)が多くてもそのままでは動脈硬化を直接引き起こす訳ではありません。血管の細胞に入りきらないLDLは血管の中で活性酸素の働きを受け酸化変性LDLとなり血管を傷つけます。酸化したLDLはマクロファージという細胞が処理しますが、多すぎて処理しきれないとマクロファージ自体がこわれます。このこわれたマクロファージの残骸がさらに血液をどろどろにして血管をつまらせます。酸化ストレス度検査はこの活性酸素の程度を調べるものです。同時に活性酸素を消去させる能力である抗酸化度も測定します。

 高感度CRP、ホモシステイン

  動脈硬化は血管に起こる一種の炎症反応であると考えられます。したがて、酸化ストレス度が動脈硬化の起こしやすさを、血管年齢が動脈硬化の結果を示しているのに対して、これらの検査は動脈硬化の進行状況を示しているといえます。これらの検査値が高いと動脈硬化が広がっていると解釈されます。

 脂質検査

  動脈硬化を起こす要因であるコレステロールなどの脂質の精密な検査も行います。

結果判定後の助言指導

  上記の各種検査の結果を基に、食事や運動といった生活習慣の改善、治療や予防についてのアドバイスをいたします。希望によりサプリメントやキレーションをはじめとする点滴療法、薬物治療についてもご相談にのります。

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