概要
グルタチオンは体内の酸化ストレスを増す酸化水素や脂質ヒドロペルオキシドを還元し、体内での抱合反応を賦活して解毒を促進する作用や、抗アレルギー作用があります。このグルタチオン点滴療法が最も注目されているのは(1)パーキンソン病、(2)抗がん剤に対する神経障害、(3)閉塞性動脈硬化症、(4)デトックス(体内解毒)です。その他、米国では線維筋痛症、過敏性腸炎、慢性疲労症候群、各種神経系疾患、そしてアンチエイジング分野でも使用されます。なお、グルタチオンの経口投与は腸で吸収されるまでに多くが壊れてしまうため、点滴療法と比べて著しく効果が劣ります。
適応症
(1)薬物中毒、自家中毒、周期性嘔吐症
(2)慢性肝疾患における肝機能の改善
(3)急性湿疹、慢性湿疹、皮膚炎、蕁麻疹、リール黒皮症、肝斑、炎症後の色素沈着
(4)妊娠悪阻、晩期妊娠中毒
(5)角膜損傷の治癒促進
(6)放射性療法による白血球減少症、放射線宿酔、放射線による口腔粘膜の炎症
パーキンソン病の治療
米国ではパーキンソン病の機能改善と病状進行の遅延を目的としてグルタチオン療法が多くの施設で実施されていますが、日本ではまだまだ知られていません(保険適応外のためもあるでしょうが)。30分ほどの点滴終了直後から歩行、振戦、バランスなどが明らかに改善する事例もありますが、通常は数回の治療で効果を体感します。
その効果のメカニズムは、グルタチオンが冒頭で述べたフリーラジカル・スカベンジャーとして働き、ドーパミン受容体の感受性を高めるからであろうと考えています。また、同時にセロトニン受容体の感受性を高めることでパーキンソンの鬱症状の改善も見られます。
この治療の最初の報告は1996年で、パーキンソン病患者9人にグルタチオン600mg i.v.を1日2回、30日間投与したところ、全例で効果が認められ、運動機能の42%が改善し、その効果は3ヶ月持続したと報告されています。米国のパールマッター医師によればパーキンソン病に対する効果は80-90%で、わが国でも驚異的な効果の報告が続いています。
グルタチオン療法による閉塞性動脈硬化症の治療
イタリアのヴェロナ大学医学部付属病院で、閉塞性動脈硬化症に対して1日2回646mgのグルタチオンの静注を5日間実施したところ、トレッドミルによる歩行距離の30%延長、微小循環の改善がみられたと権威あるメイヨー医学雑誌に報告しています。
当院での取り組み
点滴療法研究会のプロトコールに従い、1回400mgより開始し点滴で投与いたします。週1〜2回を基本とし、1回700mgを維持量とします。
グルタチオン点滴療法 初回 6,600円(診察料、点滴手技料、税込み)
グルタチオン追加 1A 220円(税込み) |