ポアソン回帰

  多変量を扱う生存分析において、対象者一人一人のデータを直接用いずに適当な区間に分けた追跡期間ごとのデータを用いることでも算出することができます。この場合、大きなデータの処理が容易となり、死亡などの事象が2人以上に同時に発生した時の厄介な問題が解決されることになります。
 もし、ある疾患の発生がポアソン分布に従う場合、それに対する疾病の発生率 event rate であるλ(ラムダ)は次の式で推定することができます。

λ=発生数/リスク人時=r/N

この率は、対数をとることで、変数(線形予測因子)の線形結合式を用いて予測することができます(対数は推定された率がマイナスになることを防ぐために用いられています)。つまり、絶対危険度 absolute risks(厳密には、危険率ですが)を推定することができるのです。例えば年齢、性別、体重を組み合わせたものを例にすると、

 ln(λ)=β0+β1・(年齢)+β2・(性別) +β3・(体重)

 ln(λ)=ln(r)−In(N)となり、rは観測値であるので、上の式を変形すると、

 ln( r )=ln(N)+β0+β1・(年齢)+β2・(性別) +β3・(体重)

となります。
rがポアソン分布に従うと見なされることから、このモデルは「ポアソン回帰(Poisson regression)」と言われています。これはコックスの比例ハザードモデルと密接な関連にあり、コックスモデルでは各観察期間の間は一定の死亡率(λ)であると仮定するのですが、発生についてのポアソン・リスクに相当するものとなります。

   

UPDATE:10/May/10'

© S. HARANO, MD,PhD,MPH